シトロエンGS

↑2014年10月11日撮影(凱旋門よりルーブル美術館方面)

シトロエンGS
1970年代にシトロエン社がハイエンドモデルのDSと普及モデルの2CVの間を埋めるべく送り出した傑作のひとつ。
小型ボディにハイドロニューマティックサスペンション+空冷フラット4エンジンをインストールした独特な乗り味のクルマ。
しかし一般には故障の多さから敬遠され、少なくなりつつある不遇なクルマ。

技術者はどんな意図でこのクルマを設計したのか・・・?

エンジン、サスペンション、ボディからねじ一本に至るまで考えられていないものはないはず。
このブログは個人のユーザーである管理人の修理の記録とそれらの過程で見えてきた技術者の意図を考察するブログです。

2014/02/23

EGR Exhaust Gas Recirculation


画像はEGRバルブ。(現在作動してません。)

EGRとは排ガスの一部をキャブレターのヒーターから燃焼室に戻し、燃焼温度を下げNOxの発生を抑える技術云々......。

結局は吸気量の10-15%を排ガスに置き換えることで吸入空気(窒素、酸素)量を減らし化合物であるNOxを減らすということ。
文字通り排気量をダウンさせEGR作動中のGSの排気量は1220ccから1100cc程度に落ちているという理解でよいのでしょう。NOxは減っている訳ですが実排気量を落としているので当然と言えば当然です。この時点では環境対策として根本的な解決には至っていない感じがしますね。

一方メリットとしてはスロットル下流から吸入するのでバタフライによる吸入抵抗を回避しレスポンスや燃費改善に役立つというもの。
三元触媒開発以降のクルマに付いているEGRシステムは燃費改善目的に中心が変わってきているようです。

作動図からすると、ソレノイドを介さずポートバキュームを直接EGRバルブに繋ぐと、油温に規定されずアイドリング、フルスロットル時以外はEGRが働くはずです。
EGRバルブの動作、どのようにパワーや燃費が変化するのか非常に興味があります。

2014/02/22

サイドマーカーの塗装 Repainting of the direction indicator


お決まりのサイドマーカーの退色。
古くなるとどうしても日焼けで色が抜けます。
まだまだパーツはあるようで海外では安価で売られています。

私はとりあえず再塗装を選びました。
カバーを外すのは簡単。ねじ状になっているので回すだけ。
丸い形状だからこそできる構造で秀逸です。

ペイントが濃いと光量不足となるので専用の塗料も売ってますが使い切れません。
また模型用のクリアーオレンジが合うとのことですが、ひと昔前はどこの街にもあった模型&玩具の店が近所に見当たりません。ミニ四駆世代としては残念ですが。

そこで文具店で、これまた懐かしいマジックインクを買ってきて裏側から塗りました。
色もバッチリ合います。

費用123円

2014/02/16

GSの価格設定 Citroen GS Pricing


GSが日本で発売された1972年頃の価格。
143万円のタグが付けられており、VWビートルの倍に近い値段。3シリーズ前身のBMW2002は198万円となっています。

この頃、大卒初任給が52700円、現在の価値換算で157000円相当だそうです。今の感覚に直すとGSは425万円ぐらい、マルニが585万円という感じでしょうか。

一方その頃の国産車の価格はカローラが50万円ですので、今と同じ感覚のおよそ150万円程度。クラウン2600やフェアレディZの2.4L、コスモスポーツなどハイオーナークラスがGSと価格上のライバルとなります。

サラリーマンにもギリギリ手が届くかもしれない絶妙な設定ですが、当時の日本のオーナーの多くは自営であったり、医師だったようです。国産では、当時羨望の、いわゆる3ナンバークラスが手に入ることから非力という声が大きかったのはある意味納得できるところ。実際には富裕層のセカンドカーとしての利用も多かったようですが。

もっとも当時のフランス本国での価格は邦価換算で80万円ぐらいだったそう。物価差を考慮しても輸入に係るマージンが大半と思いますがVWの内外価格差からすると割高な感じも否めません。故障の多さ故に西武自動車の修理が追いつかない状態だったようでいたずらに多売する必要もなかったということでしょう。

2014/02/11

スピードメーターケーブル交換 Speedometer cable replacement


ルブリケーションした新しいメーターケーブルと交換です。
メーターとのジョイントはエンジンルーム側から引き抜くだけ。
ギアボックスとのジョイントは画像に見えるクリップを外します。

外すのは簡単ですがギアボックス側は差込むのが大変。
奥まった場所、さらにボディーとのクリアランスがあまりない上にジョイント部にブッシュを噛ませる必要があります。
ブレーキバルブの高圧配管やリンクやワイヤー類を避けながら、手探りでギアの溝とインナーケーブルを合わせるためインナーケーブルが動かないよう、あるいは逆に、仮挿入後も任意に動かせるよう細い針金でガイドします。
上手く噛み合った手応えを感じたら針金を引き抜き、奥までケーブルを差し込んでクリップで固定。

交換後はメーター針の振動から解放され滑らかに動くようになりました。

2014/02/08

51年排ガス規制対策 Japanese Muskie Act


日産の技術供与でクリアした51年規制対策のシステムは大まかに以下2つ。
当時のオーソドックスなものです。

Ⅰ.排気ガス浄化
   A) A.I.R (一般的にエアポンプと言われる二次空気噴射装置)
   B) 触媒装置
   C) E.G.R (排ガス再循環装置)

Ⅱ.有害ガス発生抑制
   D) キャニスター
   E) ブローバイガス再循環
   F) キャブレターのダッシュポット
   G) 吸気予熱装置(広義としてとらえれば)

51年規制対策システムはパワーダウン以外に弊害も多く、実際には車検時以外はキャンセルされていた事も多かった事と思います。消耗品であるEGRバルブはじめ部品の供給も無いことから現在ではこのシステムが生きているGSは無いのではないでしょうか。

これらの装備が加わった77年に再販される以前のGSは48年規制の対象と思われます。
ユーザの手に渡ったものもディーラーで呼び戻し、点火時期をメーカー設定のBTDC10度からBTDC6度に遅角し、デスビに封印と例の適合済ステッカーが貼られて暫定的な対策となったようです。

2014/02/04

スピードメーターケーブルの構造 speedometer cable


スピードメーターケーブルはアウターとインナーケーブルの2重構造のありふれたもので、中のケーブルがギアの回転に合わせ高回転で回ります。マイナスドライバー状の方がギアボックス側、カプラー状の方がメーター側。日本仕様ではメーター側に、速度アラーム用のピックアップを介しメーターに繋がります。初期の2cvなんかはこの回転を動力にワイパーを動かしていたんだっけ。

今回交換するまで、痛んだ部分を切断して短く組み直し使っていたのでタイラップやら針金がみえます。ケーブルと両端の回転を伝える部分は差し込まれるのみの簡素な作りになっており、まずはココが壊れることでメーターやギアボックスのピニオンが壊れるのを防ぐことができるヒューズのような構造のようです。

そこまで考え尽くされていたかは分からないですが、よくある欧州車のメーターの震えはこのケーブルに起因します。国際規格(?)なのか車速に対する回転数は定められているようで構造もほぼ一様ですがジョイント部の形状が車種毎に異なり割高になります。同じシトロエンでも上下2分割式とかあったはず。日本の古いラテン車乗りにはむしろ震えてる方が当たり前の風景かも。

2014/02/02

私のGS citroen GS











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私のGSは排ガス対策以降の後期のPallas。
複数オーナーを渡り現在は私のもとにあります。
私は基本的に旅行から買い物までGSで済ませています。GSは一般的に信頼性の低さが問題となっていますがオートバイ程度のメンテナンス知識があれば基本的に路上での立ち往生は無いクルマであり、トラブル発生時もリカバリーは圧倒的にし易い部類と思っています。 電装系が少なくエンジン自体がブローしない限りは、点火系とキャブの2点しか問題が起こらない。

歴代のオーナーと携わったすべての方の努力と、ちょっとのコツで40年近くの車齢と10万km超の走行距離を持ってしても絶好調です。(2015年2月時点)

2014/02/01

スピードメーターケーブルのルブリケーション Lubrication

スピードメーターケーブルが壊れたので修理して使っていたが、若干音も出るし震えるしで、いよいよ比較的安価で在庫していたスペインから取り寄せました。
ケーブル25ユーロに送料が15ユーロぐらい。輸送に3週間程度掛かかりトラッキングからはスペイン内で時間が掛かってた様子。
イギリスやドイツはもっと国内がスムーズな印象。だいたい2週間ぐらいでしょうか。

NOS品なので使う前にルブリケーションします。
ちょうどメーター側とのジョイントが漏斗の口の様になってるので下から染み出てくるまで2日間ぐらいオイルを足しながら放置。