シトロエンGS

↑2014年10月11日撮影(凱旋門よりルーブル美術館方面)

シトロエンGS
1970年代にシトロエン社がハイエンドモデルのDSと普及モデルの2CVの間を埋めるべく送り出した傑作のひとつ。
小型ボディにハイドロニューマティックサスペンション+空冷フラット4エンジンをインストールした独特な乗り味のクルマ。
しかし一般には故障の多さから敬遠され、少なくなりつつある不遇なクルマ。

技術者はどんな意図でこのクルマを設計したのか・・・?

エンジン、サスペンション、ボディからねじ一本に至るまで考えられていないものはないはず。
このブログは個人のユーザーである管理人の修理の記録とそれらの過程で見えてきた技術者の意図を考察するブログです。

2014/08/31

ポイント調整 Contact breaker


予備であるポイント式のデスビですが、メンテナンスしておきます。
コンタクトブレーカーとキャパシターは新品に。
ギャップは0.45mmに調整し適正化を図ります。

左バンクのカムから点火時期を読み取っているGSでは簡単な作業ですが、これが2cvだと一苦労。
OHVなのでクランクから点火時期を読んでいたはずです。
したがってコンタクトブレーカーやキャパシターを交換するにも、たしかクーリングファンを外す必要があるのではなかろうかと。

ちなみに右バンクのカムは機械式の燃料ポンプを駆動していますが、GSのように燃料系と点火系を出来るだけ離して設計することは結構重要で、海外の番組Wheeler dealersで50年代のシボレーの試乗中に火災に遭遇したのはまさにキャブレターとイグニッションコイルのレイアウトが近かったため燃料にリークしたスパークが引火したためだったと記憶しています。

惜しいのはオルタネーターの位置で、エアポンプがある日本仕様のGSでは非常にキャブに近い
もし火災につながるとしたらオルタネーターのショートからの引火ではないかと思ってます。
オルタネーターの取り付けや特にB+の配線は注意する必要があります。

2014/08/30

フルトランジスタ点火システム Ignition system test


点火システムはlumenitionの光学式フルトランジスタユニットに交換されてます。
ご覧のように気筒分のウイングがピックアップ部のレーザー光を遮断した信号をパワーモジュールを通じてイグニッションコイルに送るシステム。
機械式接点が無いのでメンテナンスフリーと信頼性に貢献してます。

ただ弱点があって、万が一ピックアップやモジュールが故障すると修理が困難で始動出来ない。
配線次第で簡素なポイント点火に戻せるセミトランジスタ方式の方が汎用性、復旧に優れるメリットがあります。

従って万が一に備えデスビをもう一つ用意し、オリジナルのポイント点火方式でテストを行いました。
始動性やパワー感に差が出るのかなと思いましたが特別な差はありません。
そういう意味でポイント点火も現代で充分に生きるシステム。
旧車の日常利用にあたりバックアップのシステムを携行しておくことは重要と考えています。

2014/08/24

ロアアームブッシュ Lower arm bush


異音の特定は消去法。
というのもロアアームブッシュ交換は早期に済ませております。
Aアームといっていいのかわかりませんが筒の両側からブッシュが圧入されている構造。
したがってそのままではプレスで押し抜けないので一方のフランジ部分を切断するか、なんらかの方法で引き抜くしかありません。
本来はリーマー状の特殊工具で引き抜くようですが、あまりお勧めできない方法で抜きました。
あとはアームのピボットボルトがほんのわずかに長くボディと干渉するので、ボルトを削るか、ボディ側を凹ます必要があり。

画像で見られるように、おそらくはハイドロに対するアンチシンクジオメトリーのため、アームが前方に角度が付き爪先立ちの状態であることが分かります。
そのための弊害といえる突き上げ対策に比較的コンプライアンスの大きめのこのような流体ブロックが使われたのではないかと推測。
まあどんなクルマでも10年ぐらいでダメになってしまうでしょうが。

2014/08/16

ドライブシャフト組み立て Axle reassembly


CVジョイントの組み上げを紹介できればよかったのですが、私が反対側のドライブシャフトを外してナックルとともに組み立てている間に弟が元通りにしてくれていました。(笑)
あとはブーツを被せるだけなのですが、径が合っていない分割式のブーツも交換しなければなりません。
と言ってもハプニングからの急遽の作業なので当然手持ちがないのですが、こちらのHPに汎用品の紹介があったことを思い出しました。
旧式のマーチやファミリア、ピアッツァ用と互換があるようで、最寄りの業販メインの自動車部品店の通常在庫からその日のうちに入手。
シャフトの径、カップの径共にジャストでした。
紹介頂き大変助かりました。ありがとうございます。

さて左右入れ替えたドライブシャフトですが、左側の異音は消えてません。
原因はドライブシャフトでも、同時にチェックしたベアリングの可能性も低いよう。
消去法でいくと、タイロッドエンドかインナージョイントを疑い始めました。

2014/08/09

サスの圧力抜き Bleed screw


サスペンション、ドライブシャフトを外す際に大事な工程があります。
メインアキュームの画像に見えるブリードスクリューを緩めて油圧を解除すること。

面倒な作業のようですが、ばね式のサスペンションではスプリングコンプレッサーでばねを縮める工程に相当する(場合によってはダンパーも外す)作業を12mm(だったかな)のねじを回すだけで行うことが可能。

GSではドライブシャフトを抜く際に、サブフレームとのクリアランスがわずかな上にアッパーアームとの干渉があるので油圧が抜けていないと困難になります。

(足回りの)整備性はハイドロニューマティックがもたらした副次的なメリットとなります。
あくまで複雑な油圧系が正常であるならばですが。

CVジョイントの分解洗浄 Constant velocity joint overhaul


アウター側のCVジョイントの分解洗浄。
機械マニアなら工作の精度の秀逸具合だけで飯が食えそうなほど。

カップ、ボール、スパイダー、カラーと分解したものを灯油で洗います。
それぞれにはパーツが接触したと思われる若干の筋状の痕や熱による変色も見られますが、変形やガリ傷も無く経年からすると素人目線では比較的良い状態にあると思います。

FF車の革新技術である、このバーフィールド型のCVジョイントが市販車に搭載されてから数十年。
未だに主流の技術であり、かつ生産当時のものが問題も無く現役であることに感心します。

2014/08/03

CVジョイント強制分離 Unintentional separation of the constant velocity joint


プレスを加えていくとバキンと外れました。
なんとアウター側のCVジョイントもショックでサークリップが外れ強制的に分離(笑)

異音の特定のために左右のドライブシャフトを入れ替える予定のみでしたが、ハプニングのため急遽良品と思われるこちらのドライブシャフトを分解洗浄することにします。
GSの整備マニュアルによるとアウター側のバーフィールドジョイントはやらないようですけど、こうなってしまってはやらない手はない。

まずはハブに嵌合するスプライン部分。
真っ黒に炭化したグリスか何かがガッチリこびり付いているのでこじった上で磨きをかけます。
これは抜けない訳だと納得の状態。

2014/08/02

ドライブシャフトを抜く Disassembly of the drive shaft


ナックル上下のボールジョイントをナットで外し、タイロッドエンドを切り離す。

ベアリングにプレス圧を掛けたく無いのでハブを押さえられればいいのですが、曲がりそうなので仕方なくナックルで押さえてます。

後はネジ山保持のためナットを面一にしてシャフトの頭からプレス圧を加えていくのですが、簡単に抜けません。
かなりの固着があるようです。